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喘息で死んじゃうて本当?
この質問の答えは『Yes』です。実は、気管支喘息は怖い病気なんです。決して甘く見てはいけません。特に、わが国の喘息死は人口10万人あたり5人と欧米の2人前後と比較するとかなり高く、しかも、最近10年間は減少することなく増加傾向を示しています(2002年よりわずかに減少傾向を示していますがいまだ世界的にみて高い数字を示しています)。

では、なぜ喘息死はなくならないのでしょうか?1986年10月、私が米国、ユタ大学の集中治療室での留学を終え帰国。1985年4月に昭和大学藤が丘病院に開設された救命救急センターに内科呼吸器から最初の出向で赴任しました。救急の現場では外科系出身の医師が多く、また、学会の中心になっているのも彼らでした。この様な環境の中で気管支喘息の患者さんが重積発作やCPAOA(心肺停止)で搬送されたとき、外科系の先生方に『内科の医者はちゃんと治療をしているのか?』、『喘息なんか死ぬような病気じゃないんだから』などと朝のカンフアレンスでよく言われたものです。なるほど、確かにその当時は、喘息は死なない或いは死ぬような病気ではないとの考えが呼吸器系の医師を除く多くの医師の間に広く浸透していたのも事実です。

それは、当時の気管支喘息の定義に*【気流制限(発作)は自然にまたは治療により可逆的である】の1項目が金科玉条のごとく存在していたため、多くの医師は、喘息は例え高度の発作があっても治るんだ、だから喘息はどうって事ない疾患なんだとの考えが拡がっていました。医師がこの様な考えだから、患者さんはもっと気楽に考えても何の不思議もありません。

この問題を、何とかしなければいけないと考え、救命救急センタ-における喘息死を徹底的に調べることをLife Workにと考え約17年間にわたって研究してきました。

結果は現在(2002年3月)まで91例の三次救急対象の気管支喘息例があり、生存、死亡数はほぼ1:1です。すなわち救命救急センターに搬送される喘息の50%が死亡しており、【喘息は死なない】は無いことを証明しました。さらに、死亡例の原因究明では80%以上は受診態度がいいかげんな(発作時だけ、薬がなくなった時だけ、気が向いたときなど)不定期受診例でした。また、診療施設の80%以上が開業医受診例であり、大学病院などの専門施設受診例は5%以下でした。さらに病院受診前の患者さんの心理状況は1.我慢する、2.いつもの事、3.家族の判断誤りが75%を占め、病気の状態の過少評価によって、結果的に受診の遅れにつながったことが示唆されました。

医師のアレルギー疾患に対する知識及び認識不足から患者、家族に正確な気管支喘息教育や指導が行われなかったことが重大な原因の1つではないかと考えられました。患者も家族も教育がされていなければ対処の仕様がないのは当然の結果ではないでしょうか。

最後に、救命救急的見地からの対策として、喘息専門医を中心に積極的に気管支喘息について広く啓蒙し、定期治療を促進させていく事が喘息死の減少につながるものと考えます。
※1998年の定義では『気流制限は軽度のものから致死的なものまで存在し自然に、または治療により少なくとも部分的には可逆的である』とされ、斜線部文の改訂がなされている。


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